クラウドコンピューティングはネットワーク側にコンピュータの機能を配置し,必要な機能をネットワークサービスとして利用するコンピューティング形態です.とくに,IaaS(Infrastructure as a Service)はハードウェアの機能自体もサービスとしてユーザに提供しますので,ユーザは入出力装置,すなわち,キーボード,マウス,ディスプレイが備わったネットワーク機器さえあればよいことになります.コンピュータのCPU,ハードディスク容量などは年々性能が上がり,かつ,値段が安くなっています.それならば,自分でパソコンを購入しないで,簡単に契約変更でアップグレードできるクラウドコンピューティングはユーザにとって魅力的なサービスです.
しかし,このサービスが家庭における一般的なコンピューティング形態になった場合,パソコンという端末の価値はどうなってしまうでしょうか?現在,様々なメーカーが独自の機能,デザイン,搭載ソフトウェアを売り物に商品としてのパソコンを設計していますが,クラウドコンピューティングを利用する場合は,パソコンは何でもよくなります.つまり,安いパソコンしか売れなくなり,そして,デザインやパソコンメーカーのブランド力など消え去っていくことでしょう.何十年も前からこれと似たような現象は起こっています.デスクトップコンピュータが,いわゆるIBM互換機という名で一般化されたとき,CPU,マザーボードなど,一般的な規格部品で作られたパソコンであればマイクロソフトWindowsは動きました.したがって,特に有名ブランドのパソコンを買う必要が全くなくなりました.その後,ノートパソコンの時代になり,いったんは各社オリジナルパソコンを差別化して製造しましたが,結局同じような機能,デザイン,価格に落ち着いてきました.
そう考えると,クラウドコンピューティング時代ではこの傾向がさらに加速し,携帯電話にもそれが進み,端末の個体差は要求されなくなるでしょう.そのときは,iPhoneとかAndroid携帯などはネットワークの向こう側のサービスに過ぎず,小さな箱さえあれば,いかなる携帯電話も簡単に切り替えて使えることでしょう.また,新しい携帯電話を持つという満足度はもはや意味が無くなり,携帯電話メーカーは価格下げ競争に身を投げることになります.言い換えると,クラウドコンピューティングの発展は,端末メーカーの衰退につながるわけです.所有するという楽しみがどんどん減ってしまうのは寂しいものです.ハードウェアだからこそ「愛着」が湧くのです.ソフトウェアの利便性とハードウェアの愛着双方が満たされる形で,クラウドコンピューティングの時代を迎えたいです.
2010年6月18日金曜日
2010年5月12日水曜日
クラウドコンピューティングの連携
昨日のブログのタイトルは,「せつないクラウドコンピューティング」でした.読み直してみるとクラウドコンピューティングに対してネガティブな表現で終わっていましたので,もう少し明るい話をしたいと思います.それはクラウドコンピューティングの連携です.
クラウドコンピューティングのサービス形態は大きく分けて,IaaS,PaaS,SaaSの3つに分類されることを(昨日のブログ)述べました.現在,それぞれのサービスを,アマゾン,マイクロソフト,グーグルなどが得意分野を中心として提供しています.しかし,よく考えるとクラウドサービス間のサービス利用も可能なはずです.例えば,アマゾンが提供するIaaSのハードウェア資源にマイクロソフトが提供するPaaSによってオペレーティングシステムを導入し,さらに,その環境でグーグルが提供するSaaSによってWebアプリケーションを利用するということも考えられます.もし,このような形態を実現した場合はクラウドの3層構造ということになります.さらに,その各層はいくつかのクラウドを連携して構成するということもあり得ます.つまり,小さなIaaSをいくつか集めて比較的大きなIaaSを提供しても良いわけです.このような形態が既に実施されているかもしれません.クラウドなので実際にはわかりませんが.
クラウド連携を行った場合,あるクラウドが持っていない資源を他から借りてきて提供することも可能になります.クラウド間の資源の貸し借りはお互いさまなので無料にできれば良いですが,クラウドによって規模や経営戦略が異なるのでら,値段交渉をすることになるのでしょう.
クラウドがいくつも連携することでネットワーク遅延によるパフォーマンスの劣化が懸念されますが,そのような問題はいずれ技術が解決するでしょう.それよりも,どのクラウド・サービスプロバイダと契約してもユーザはあらゆるサービスを受けられるので,プロバイダを比較選別するという煩わしさがなくなります.ユーザがプロバイダを選択する場合,わかりにくい料金プランや規約に騙されそうになったりしますが,そのようなサービスの違いでユーザを相手に商売をするのではなく,クラウド間の資源の貸し借りという業者間の商売に徹してもらうと,個人的には助かります.
近い将来,テレビも単なるディスプレイ端末となり,クラウドサービスに加入することでシャープのAQUOSになったり,ソニーのBRAVIAになったりするかもしれません.そうなると,メーカーはハードウェアを製造しますがユーザから見るとソフトウェアサービス会社に見えることでしょう.
クラウドコンピューティングのサービス形態は大きく分けて,IaaS,PaaS,SaaSの3つに分類されることを(昨日のブログ)述べました.現在,それぞれのサービスを,アマゾン,マイクロソフト,グーグルなどが得意分野を中心として提供しています.しかし,よく考えるとクラウドサービス間のサービス利用も可能なはずです.例えば,アマゾンが提供するIaaSのハードウェア資源にマイクロソフトが提供するPaaSによってオペレーティングシステムを導入し,さらに,その環境でグーグルが提供するSaaSによってWebアプリケーションを利用するということも考えられます.もし,このような形態を実現した場合はクラウドの3層構造ということになります.さらに,その各層はいくつかのクラウドを連携して構成するということもあり得ます.つまり,小さなIaaSをいくつか集めて比較的大きなIaaSを提供しても良いわけです.このような形態が既に実施されているかもしれません.クラウドなので実際にはわかりませんが.
クラウド連携を行った場合,あるクラウドが持っていない資源を他から借りてきて提供することも可能になります.クラウド間の資源の貸し借りはお互いさまなので無料にできれば良いですが,クラウドによって規模や経営戦略が異なるのでら,値段交渉をすることになるのでしょう.
クラウドがいくつも連携することでネットワーク遅延によるパフォーマンスの劣化が懸念されますが,そのような問題はいずれ技術が解決するでしょう.それよりも,どのクラウド・サービスプロバイダと契約してもユーザはあらゆるサービスを受けられるので,プロバイダを比較選別するという煩わしさがなくなります.ユーザがプロバイダを選択する場合,わかりにくい料金プランや規約に騙されそうになったりしますが,そのようなサービスの違いでユーザを相手に商売をするのではなく,クラウド間の資源の貸し借りという業者間の商売に徹してもらうと,個人的には助かります.
近い将来,テレビも単なるディスプレイ端末となり,クラウドサービスに加入することでシャープのAQUOSになったり,ソニーのBRAVIAになったりするかもしれません.そうなると,メーカーはハードウェアを製造しますがユーザから見るとソフトウェアサービス会社に見えることでしょう.
2010年5月11日火曜日
せつないクラウドコンピューティング
クラウドコンピューティングとは,コンピュータの機能をネットワーク内の資源によって実現する仮想コンピュータ環境です.ユーザは最低限の機能を持った端末とネットワーク接続環境さえあれば,あたかも全ての機能をその端末が提供しているように感じながら利用できます.どこまでの機能をネットワーク内の資源に任せるかによって,IaaS(Infrastructure as a Service),PaaS(Platform as a Service),SaaS(Software as a Service)などとサービス形態が区別されます.IaaSはハードウェアの機能自体をネットワーク内資源に提供してもらいますので,ユーザはその環境に好みのオペレーティングシステム(WindowsやLinuxなど)を導入して利用します.したがって,ユーザはネットワーク接続環境とキーボード,マウス,モニタなど入出力装置がある端末さえ用意すればよいことになります.PaaSはプラットフォーム,すなわち,多くの場合オペレーティングシステムなどの実行環境をネットワーク内資源に提供してもらい,ユーザは好みのアプリケーションを導入して利用します.SaaSはアプリケーションパッケージ(Office Web AppsやGoogle Appsなどが有名)などをネットワーク内資源に提供してもらい,ユーザのコンピュータ端末にインストールすることなしにそれらのアプリケーションサービスを利用することができます.
クラウドコンピューティングは,このようなコンピュータの機能をネットワーク内に分散させて利用しますので,ネットワークに接続さえできれば原理的に何処でも利用できますし,機能の拡張および縮小も容易です.しかし,実際にそれらの機能を提供している資源がネットワーク内の何処にあるのかはわかりません.コンピュータ資源が雲(クラウド)で覆われているようなサービス実行環境なのでクラウドコンピューティングと呼ばれているわけです.
クラウドの概念は様々なケースに応用できます.例えば,最適な電力量を多様な電力供給源から提供できるようにするスマートグリッドは典型的なアプリケーションです.また,テレビも近い将来単なるモニタになってしまい,ハードウェアの機能はネットワーク内資源に任せて月々使用料を払うというようなサービスに取って代わるかもしれません.
このように考えると,よいことばかりに思えますが,私のように技術系のユーザは,使う/使わないにかかわらず何でも自分の手の届く場所にないと不安に感じるので,クラウドコンピューティングの利用者には向いていないかもしれません.もし,ネットワークトラブルが起こったら仕事ができないとか,現在利用しているサービスが廃止になったらどうしようかと考えてしまいます.一番気にすることは,コンピュータ(機能)の実態は見当もつかない場所に存在しているということです.目の前にあるのに触ることができないなんて,なんてせつない世界なのだろう,と感じてしまうのです.
何処にでもありますが,何処にあるかわからない,このようなコンピュータ環境に違和感なく溶け込めるようになるまでには,まだまだ時間がかかりそうです.
クラウドコンピューティングは,このようなコンピュータの機能をネットワーク内に分散させて利用しますので,ネットワークに接続さえできれば原理的に何処でも利用できますし,機能の拡張および縮小も容易です.しかし,実際にそれらの機能を提供している資源がネットワーク内の何処にあるのかはわかりません.コンピュータ資源が雲(クラウド)で覆われているようなサービス実行環境なのでクラウドコンピューティングと呼ばれているわけです.
クラウドの概念は様々なケースに応用できます.例えば,最適な電力量を多様な電力供給源から提供できるようにするスマートグリッドは典型的なアプリケーションです.また,テレビも近い将来単なるモニタになってしまい,ハードウェアの機能はネットワーク内資源に任せて月々使用料を払うというようなサービスに取って代わるかもしれません.
このように考えると,よいことばかりに思えますが,私のように技術系のユーザは,使う/使わないにかかわらず何でも自分の手の届く場所にないと不安に感じるので,クラウドコンピューティングの利用者には向いていないかもしれません.もし,ネットワークトラブルが起こったら仕事ができないとか,現在利用しているサービスが廃止になったらどうしようかと考えてしまいます.一番気にすることは,コンピュータ(機能)の実態は見当もつかない場所に存在しているということです.目の前にあるのに触ることができないなんて,なんてせつない世界なのだろう,と感じてしまうのです.
何処にでもありますが,何処にあるかわからない,このようなコンピュータ環境に違和感なく溶け込めるようになるまでには,まだまだ時間がかかりそうです.
登録:
投稿 (Atom)