「携帯電話を利用する中学生の8割強が,携帯のネット接続で宿題のわからない点を調べている」,というニュアンスの記事が,2010年6月21日の朝日新聞朝刊に出ていました.iPhoneのようにパソコンと同じ検索サイトを利用しているならともかく,携帯電話の検索サイトは検索語を入力しても得られる結果が少なく,十分な情報が得られないはずなのですが・・・.
自宅でパソコンを使える環境がほぼ整いつつあるにもかかわらず,何故携帯電話で検索するのか不思議でした.とても気になったので最近のパソコン・携帯電話の利用法を調べてみると,中学生・高校生はパソコンをあまり使わないということが判明しました.文章を書くときも携帯電話で何百文字も打ち込み,それを電子メールで送信してパソコンで受け取るようです.そして,その文章の体裁のみを整えて印刷するという作業の仕方が一般的であるという情報を得ました.もし,これが真実だとしても,何故,わざわざ小さい画面で,かつ,入力しにくい携帯電話のキーで文字を入力するのでしょうか?答えは意外なものでした.現在の中学生・高校生はパソコンのキーボードを使うのが苦手なようです.使えないわけではないのですが,携帯電話のキー入力の方がはるかに速く入力できるのだそうです.また,普段から電子メール,ゲームなどで携帯電話を頻繁に利用するので,画面が小さいということに対してはほとんど違和感がないそうです.
正直,この事実には驚きました.パソコンを利用する年齢がどんどん下がっているので,今では小学生や中学生ですらパソコンを使いこなしているのかと思いましたが,違いました.もちろん,パソコンを使えないのではなく,個人で利用する携帯電話でほとんどのことができてしまうので,わざわざ家の共有パソコンを使う必要がないのです.そう考えると納得がいきます.そういえば,ある大学の教員から,携帯電話でレポートを書いて提出してくる大学生がいるという話も聞きました.大学のレポートとなれば,それこそ数行程度で済むものはほとんどなく,数十ページにおよぶものと考えられますが,それでも携帯電話でレポートが書けてしまうのです.
世代の違いとは恐ろしいものですが,このような状況は決して否定するものではありません.なぜなら,これこそがこの時代のライフスタイルだからです.パソコンが一番と考えるのはもう古いのかもしれません.それよりも問題なのは,検索することで答えが出てしまうような宿題を出す教員側です.授業時間内では十分に時間を取れない勉強も,宿題であれば可能です.したがって,インターネットで何かを調べてわかるような宿題ではなく,学生の思考を重要視する課題,すなわち,考えることに重点を置いた宿題を出すべきだと思います.検索してわかるようなものであれば,それこそ授業中に携帯電話で調べてしまえばよいのでは,と思います.授業中に携帯電話を使うことに違和感がある教員もいるかもしれませんが,iPadを授業に取り入れようとする学校もありますので,それが良くて携帯電話が悪い理由は見つかりません.授業中の携帯電話での通話は問題ですが,携帯電話もパソコンと同様,教材の一部と考える時代になったと思います.
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