最近Twitterの話題が多いのですが,そのサービス自体の話ではなく,サービスを利用するユーザの気持ちについて考えてみたいと思います.メディアでも取り上げられている通り,Twitterのユーザ数は1億人を突破したとも言われています.全ユーザが必ずネット上につぶやいているとは限りませんが,相当数のユーザがこのサービスに関心を持っているのは事実です.では,Twitterの魅力は何なのでしょうか?サービス自体が140字という制限が,気楽でちょうどよいという感想を持つ人が多いようですが,実際に140字ぎりぎりまでつぶやいている人は極少数で,ほとんどの人は他人の引用(リツイート)を除くと50字もつぶやいていません.もちろん,ブログの投稿に比べると気楽に参加できますが,字数の制限が最大の理由ではなさそうです.
Twitterの利用に関しては,携帯電話との関係を切り離すことはできません.相当数のユーザが携帯電話からつぶやいているからです.携帯電話からつぶやく理由は,通勤通学時の電車やバスの中等,ちょっとした時間を利用できるからでしょう.休憩するために入ったコーヒーショップでのつぶやきも同じような理由かもしれません.それらは,ある意味暇つぶしでもあるでしょう.しかし,面白いことにそのような時間帯につぶやいている人の中には,家に帰ってテレビを見ている最中,入浴中,さらにはベッドの中でさえつぶやいていることもあります.すなわち,暇つぶしではなく,つぶやかずにはいられないようです.すべてのユーザがこのように四六時中つぶやいているわけではありませんが,何らかの魅力があるからつぶやき続けているわけです.それは何なのでしょう?
考えられる理由の一つは,つぶやくことに対する誰かの返信や,リツイートされることを期待しているからでしょう.返信されたりリツイートされると,自分の発言が人の心を動かしたということを実感でき,それによってネット上での自分の存在意義を確かめられるからではないでしょうか?以前,数分おきに電子メールをチェックしないと気が済まない人が大勢いましたが,それも誰かからの返信や自分への何らかの誘い等,自分の存在意義を実感したいからなのではないかと思います.つまり,Twitterの魅力はつぶやくこと自体より,自分に関心を持ってくれたことを実感することにあると考えられます.
現在の社会においては,ただ単に与えられた仕事をこなすだけでは,雇い主からその人の必要性を感じてもらえません.かといって,いきなり自分のアイデアや能力をアピールできるようになるわけでもありません.そのようなときに,ネット上で何気なく自分の発言に興味を持ってくれる人を実感できるというのは,この上もない喜びなのかもしれません.人と人とが顔を合わせる実社会空間で,自分が必要とされているという実感がもてるようになれば自然と発言力も高まりますし,その充実感からもっともっとその力を伸ばそうと努力することでしょう.経済的に低迷した社会においてはビジネスの需要が少なくなり,それに伴って必要とされる人が減少しているという事実こそが,Twitterユーザ数を増加させた一番のきっかけかもしれません.自分を必要としてくれる機会が増えれば増えるほど,Twitterユーザが減るとまでは言いませんが,つぶやき数は減ってくるのではないかと思います.1日につぶやかれる回数やつぶやく人数を調査して,それなりの方法で解析すると,景気の低迷度や回復度が予想できるかもしれません.それはそれで,社会インフラとしての大きな役割です.
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