インターネット検索エンジン大手のグーグル,コンピュータの心臓部であるCPU(Central Processing Unit)で有名なインテル,そして,日本の電機メーカーであるソニーがGoogleTVの制作で提携するとの発表がありました(2010年5月20日).GoogleTVとは,テレビでWebサイトを閲覧したり,また,コンテンツを検索し,視聴および録画をできるようにするものです.
このニュースで面白いのは,日本のメディアのほとんどがグーグルとソニーが提携する,ということだけ述べており,インテルの名前が出てこないことです.インテルはこのGoogleTVでAtomというCPUを供給するそうです.インテルの役目はわかりやすいので,グーグルとソニーの役割について見ていきましょう.
GoogleTVにおけるグーグルの強みは,検索技術,広告スペース,AndroidというOS(Operating System),クラウドコンピューティング,そして,傘下のYouTubeというコンテンツです.一方,ソニーの強みは,テレビというハードウェア,そして,映画などのコンテンツです.そう考えると,これらが結合されて提供されるサービスは予想がつきます.すなわち,テレビ番組,映画やYouTubeコンテンツの検索とその視聴および録画,そして,それらのコンテンツサービスと録画場所の提供としてクラウドサービスを使うということになるでしょう.
では,これらのサービスは魅力的でしょうか?テレビでWebコンテンツを見るだけなら既存のテレビも対応していますし,電子番組表を用いてコンテンツの検索ができるレコーダーも既にあります.また,予想されるサービスに関してもパソコンにテレビチューナーを搭載すればすべて可能であることは自明です.そのような状況で,あえて,GoogleTVなるものを制作して意味があるのでしょうか?そして,気になるのはソニーの役割です.もしかすると,モニタの提供と映画コンテンツのライセンス提供だけなのではないかと感じます.モニタに関してはもはや価格破壊が起こっていますので,ソニーにとってはあまりオイシイ商品とは考えられませんし,GoogleTVサービスのためにCATVのようなセットトップボックスを用意するとしても価格はそれほど高いとは思えません.先に述べましたが,このサービスはパソコン上では既に実現できる環境は整っているので,やはりソニーの出番がほとんどなさそうです.Androidを用いた携帯電話とのコンテンツ連携に関しても,現在の技術をテレビに移行するだけです.そう考えると,グーグルはソニーというブランドだけが欲しくて提携したのではないでしょうか?
このように考えると,GoogleTVの魅力は何なのか今ひとつよくわかりません.しかし,グーグルが何の戦略もなしに新しいサービスを行うとは考えられませんので,何かワクワクするような,そして,次世代インターネットライフのさきがけとなるような世界を提供してくれることに期待したいものです.
2010年5月23日日曜日
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