2010年5月20日木曜日

モバイルFeliCa

駅の改札で「ピッ!」と音を立てながら急ぎ足で駆け抜ける人々.便利になったものです.ちょっと前までは切符や定期券を自動改札機に通していましたが,最近ではバッグの底に定期券を入れておいても改札を通り抜けることができます.SuicaやPASMO(おもに関東圏)はFeliCaというソニーが開発した非接触型ICカードの規格で,チャージされた金額分の運賃をカードリーダーに読ませることで支払いができます.いわゆる電子マネーであり,EdyなどもFeliCaを使っています.カードというとなんだか名刺の大きさを連想するかもしれませんが,実際はそのカードにICチップが埋め込まれており,それがFeliCaそのものと考えた方が正しいです.そのICチップは携帯電話にも実装されるようになり,モバイルFeliCaとして利用できることも多くの人は知っているでしょう.

モバイルFeliCaはFeliCaのICカードにはない面白い機能があります.ICチップ内にはカードを識別する番号や電子マネー決済情報などを格納しているメモリが存在しますが,その部分はセキュリティ確保のためにユーザが利用できないようになっています.これは,モバイルFeliCaもFeliCaのICカードも同じです.しかし,モバイルFeliCaにはユーザ領域といって,ユーザが自由に利用できるメモリも用意されています.つまり,その領域にデータを書き込んだり,それをリーダに読み込ませたりすることができるのです.

当研究室の学生も,モバイルFeliCaのユーザ領域にプログラムを書き込んだり,そのプログラムをリーダに読み込ませてパソコンで実行させたりするアプリケーションを製作しました.普段何気なく持ち歩いている携帯電話をリーダにタッチするだけで,データやプログラムをやり取りできるので,直感的な操作という面でとても使いやすいです.USBメモリの場合は,いちいちパソコンのポートに差し込んでファイルをクリックしたりしなければならないことを考えると,雲泥の差です.しかし,ここでひとつ問題がありました.ユーザ領域には64バイトというスペースが3つ用意されており,合計でも192バイトしかありません.これでは,ほんの小さなデータしか格納できません.192バイトというのは半角文字192文字分ですので,電子書籍などは到底持ち歩くことができません.簡単なメモかインターネットアクセスのURLがやっとでしょう.

半導体技術の進歩を考えると,もう少し大容量のユーザ領域を用意することは特に難しいことではないはずです.是非ともソニーにはユーザ領域の拡張を検討して頂きたいと思います.それによって,新しいアプリケーションの創出が可能となり,新たなビジネスチャンスも開けるでしょう.

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