2010年5月9日日曜日

宇宙からのメッセージ観測

皆さんはものすごい数の宇宙線が地球に降り注いでいるのをご存知でしょうか?宇宙線とは,宇宙空間を飛行している放射線と考えるとわかりやすいかと思います.例えば,ガンマ線,電子線,原子核など様々な種類があります.「そんなに多くの放射線を浴びて人間は大丈夫なの?」という声が聞こえてきそうです.しかし,地球には分厚い大気が存在し,宇宙線の多くはそこで吸収されてしまうので大丈夫です.今,このような宇宙線のうち特に電子線とガンマ線に着目し,国際宇宙ステーションで観測する計画,CALET(CALorimetric Electron Telescope)の準備が進められています.私もこのプロジェクトに参加させて頂いており,2013年の打ち上げを目指して本年度から本格的にデータ処理システム等の研究を行っています.

このような宇宙線の観測は何のために行っているのでしょうか?一般的に宇宙線の観測では,どの種類の宇宙線が,どのくらいのエネルギーを持って,どのくらいの頻度で,どの方角から飛んでくるのか,という情報を取得します.それらを解析することによって,宇宙線の起源はどこか,どのように加速されて地球に到来したかなど,宇宙現象の解明を目的としています.

見方を変えると,想像を絶するような遠くの場所から,「何らか」のきっかけで光に近い猛スピードで飛んでくるわけですから,「何らか」の意味をもたらす宇宙(自然)からのメッセージと捉える事が出来ます.先に述べた情報を観測することによってそのメッセージを理解しようとするわけです.これは広い意味での超長距離片方向無線通信と言えます.通信というと,一般的には電気信号を発信者から受信者へ送ることを想像するでしょう.しかし,この宇宙線通信は送信者が不明,どこを通ってきたかも不明,しかしながら,確かにメッセージは到着したという事実をもとに,そのメッセージを統計的に解読する研究ということができます.通信の歴史を振り返ると,人間と人間との通信,人間と機械との通信,機械と機械との通信が登場しましたが,自然と人間との通信があってもいいじゃありませんか!

CALETのホームページ:
http://www.calet.rise.waseda.ac.jp/

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