2010年6月10日木曜日

3Dディスプレイの将来

2010年は3Dディスプレイ元年ともいわれるように,各社3Dテレビの製品発表会が頻繁に行われています.そのなかでも,2010年6月9日に発表になったパナソニックの3Dディスプレイはとんでもない化け物です!なんと,世界最大152型フルハイビジョンディスプレイなのです.高さ180cm,幅340cmというからびっくり.152インチディスプレイの幅が340cmといわれても,これ自体想像できる人はあまりいないでしょう.50インチのテレビ画面で考えると,それが9画面集まった大きさです.そんな大きいのが家の中に運び込めるのでしょうか?そして,どのような人が買うのでしょうか?このディスプレイは7月1日から「受注」生産し,価格は5000万円以上だそうです.

最近,40インチ以上の大型液晶テレビが飛ぶように売れており,家電量販店に行くと1年前に比べるとラインナップが明らかにインチアップしています.それもそのはず,52インチの液晶テレビが15万円ほどで買える世の中になったのですから,家が少々小さくても大きい方を買ってしまうのでしょう.そのようなテレビの陳列にまぎれて,3Dディスプレイも何台か置いてあり,専用メガネを用いて3D映像の体験ができるような店も増えました.私も近所の家電量販店で3D映像を見てみました.確かに凄かったです.しかし,ふと,デジャヴュかと思ってしまいました.いや,デジャヴュなんかではなく何十年も前にこのようなメガネをかけて立体映像を見ていました.左右2つのカメラで撮影された映像を合成することによって立体的に映し出す技術はかなり昔から存在していました.その映像を専用メガネで合成して人間の脳には3D映像が映し出されるのです.そう,ディズニーランドにはこのようなアトラクションが何十年も前からありましたね.そう思った瞬間,急に熱が冷めてしまい,専用メガネをはずすとピンボケの映像がディスプレイに.これもまた,ディズニーランドで体験したものと同じです.

ここでお話したいポイントは2つです.ひとつ目は専用メガネをしていない人がこの映像を見ても,ピンボケ映像が見えるだけで全く面白くありませんし,メガネをすること自体鬱陶しいです.ふたつ目はこのような立体映像のコンテンツがテレビ局から放送されないと3Dテレビの価値がないということです.現在,一部のBS放送やケーブルテレビの有料チャネルで3Dコンテンツの配信が始まっていますが,ほとんど存在しないといって間違いないでしょう.

このような状況を考えると,3Dコンテンツはテレビ向けではなくインターネットコンテンツ向けではないかと考えてしまします.現状では3Dコンテンツを作るだけで2Dと比べると余分なコストがかかるわけですから,すぐには無料コンテンツにはならないでしょう.つまり,オンデマンド配信を利用したインターネットコンテンツとしてサービスを始める方が自然です.オンデマンド配信であれば,ユーザは通常のテレビ放送とは異なることを理解していますので,少額であれば有料であっても視聴するでしょうし,専用メガネの装着もその時に限るのであれば我慢できると思います.近い将来,GoogleTVなどでテレビコンテンツがすべてオンデマンドになった場合,通常のテレビ放送という概念が無くなってしまいますので,その時は専用メガネの装着は耐えられなくなるでしょう.しかし,その頃には,専用メガネを使わなくとも3D映像を見ることができるディスプレイが開発されているかもしれません.

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