ある書類を探していると,以前に探してもなかなか見つからなかったも別の物が偶然見つかったという経験談を良く耳にします.このような発見をセレンディピティといいます.別の例ですが,アメリカで潜水艦の機関音を捉える実験をしていたところ,明らかに潜水艦からではない規則的な音が聞こえてきました.それについて詳しく調査してみると,その音源はイルカでした.この実験の最中にイルカの交信が潜水艦の機関音と同じ周波数であることを発見したのです.
セレンディピティは「棚からぼた餅」のような物語に聞こえるかもしれません.しかし,良いことばかりとは限りません.例えば,メールボックスに溢れんばかりに溜まった電子メールを整理していると,ある重要な〆切が昨日であったことを知るメールに遭遇し,真っ青になることもあります.
良いことであれ,悪いことであれ,セレンディピティを経験しやすい人と経験しにくい人がいるようです.経験しにくい人は,目の前にある情報に気付かない鈍感な人なのかもしれません.では,どちらの方が幸せでしょうか?欲張りな人は,良いことも悪いこともセレンディピティを受け入れ,「知らぬが仏」タイプの人は興味もないかもしれません.私は現実をすべて受け止めたいので悪い発見も含めセレンディピティを歓迎します.というのも,自分にとって関係がある情報が,自分の意思とは別に向こうから飛び込んでくるなんて,この上もない素晴らしい現象だと感じるからです.ここで,「現象」という言葉を用いました.セレンディピティは「現象」と捉えるのが理解しやすいと思います.
では,この現象を起こりやすくすることは可能でしょうか?先に述べましたが,鈍感な人には起こりにくく,常にアンテナの感度を高めて生活している人には起こる確率が高いと思います.期限の切れた仕事を偶然に発見してしまうのは最悪ですが,今,やっていることとはまったく関係のない発見に出会い,それによって新しい人生が開ける可能性があることを想像するとワクワクしてきます.予期せぬ発見,これを制御できるようになったら予知能力を持つことになるのかもしれませんね.
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