2010年6月9日水曜日

iPhone4の隠れた凄さ

2010年6月8日,米アップル社の最高経営責任者であるスティーブ・ジョブズが,サンフランシスコで開催されたWWDC(Worldwide Developer Conference)で新型iPhoneの発表を行いました.6月24日から発売を開始するそうです.新型iPheneは「iPhone 4G」とか「iPhone HD」という名前で噂されていましたが,「iPhone4」という名前になりました.これに関しては正直ホッとしました.4Gというと携帯電話の第4世代と混乱しそうですし,ディスプレイもハイビジョン映像に適した画素数が無いのにHDという名前が付いていたので違和感がありました.とはいえ,画面の画素数は縦,横それぞれが2倍,つまり,総画素数は4倍にもなったため,高画質映像を表示できることには違いありません.

iPhone4についての情報がインターネット上のあちこちで見られ,その新しい機能を絶賛しています.先に述べた高解像度の画面,24%も薄くなった厚み,高性能プロセッサ,長寿命バッテリ,ジャイロスコープ,高解像度カメラとLEDフラッシュ,デジタルズームなど,現行モデルの「iPhene3GS」と比べると明らかに高性能かつ多機能になりました.ここまでは多くのニュースで語られている話ですが,これ以外に目立ちはしませんが重要な新機能が加わっています.それは,HSUPAという通信方式に対応したことです.HSUPAはHigh Speed Uplink Packet Accessの略で,HSDPA(High Speed Downlink Packet Access)と合わせてHSPAと呼ばれており,3.5Gの携帯電話通信方式として注目されています.HSDPAは下りの回線,すなわち,基地局から携帯電話方向への通信速度を高速化するもので,ストリーミングサービスなど容量の大きなコンテンツの再生に適しています.iPhone3GSはこのHSDPAには対応していましたが,上り回線,すなわち,携帯電話から基地局への通信速度を高速化するHSUPAには対応していませんでした.それが今回のiPhone4で対応するようになったのです.これこそがiPhoneなどスマートフォンにとってキーとなる技術ではないかと考えています.

では,なぜHSUPAが重要なのでしょうか?上り回線の高速化は個人ユーザによるストリーミング配信サービスを可能とします.ストリーミング配信サービスとしてUstreamが有名ですが,スマートフォンに「Ustream Live Broadcaster」という無料アプリケーションをインストールすれば,Ustreamのインフラを利用して個人ユーザが簡単に,いつでもどこでもストリーミング配信サービスを行うことができるようになります.例えば,野外スポーツ競技の生中継,出張先からのリモート授業,さらには,国会中継さえも可能となります.これまでは上り回線があまり高速でなかったためにiPhoneからのライブ映像配信はぎこちないものでしたが,HSUPAに対応したことでかなり高品質なものになると思われます.近いうちに,数えられないほどのライブ映像配信サイトがインターネット上に現れることでしょう.もしかすると,これがTwitterの動画版という形で発展するかもしれませんよ.楽しみにしましょう.

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