2010年7月5日月曜日

ノンアルコールビールはドル箱

2010年7月4日の朝日新聞朝刊に,ノンアルコールビールが高収益をもたらしているという記事がありました.アルコール度が1%未満であれば酒税がかからないのに,これらは第3のビールとほぼ同じ価格で店頭販売されています.いくら開発費がかかったとはいえ,原料費や製造法は従来のビールまたは第3のビールとそれほど変わらないはずです.さらに,これだけ売れているのであればその投資額は十分回収できているのではと思います.350mlの料金で考えると,28円分の酒税がないためそれくらいの価格低下があってもよいはずです.やはり,消費者はいいカモになっているのですね.

では,どうして割高であるとわかっているノンアルコールビールが売れているのでしょうか?消費者心理に帰するところが多いと思いますが,まずは飲んでも車の運転ができるということでしょう.しかし,そうまでしてビールの雰囲気を味わいたい消費者が多いのかどうかは疑問です.実際に飲んでみるとかなり味が違うので,物足りなく感じて普通のビールが飲みたくなり,ますますストレスが溜まります.これでは何のために飲むのかわかりません.また,アルコール度がほとんど0に近いということで健康にいいのではと勘違いしている人もいるかもしれません.確かにアルコール自体が体に及ぼす影響は低減するかもしれませんが,ノンアルコールビールといえども原材料はビールとほぼ同じであり,成分からみた健康への影響はそれほど変わるとは思えません.さらに,酒は飲めないが付き合いで飲むというケースがあるかとも考えたのですが,そのような人はたとえアルコールが入っていなくともノンアルコールビールを飲むことはほとんどなく,ソフトドリンクを飲むはずです.

このように考えると,何故ノンアルコールビールが売れているのかわかりません.やはり消費者は勘違いしてだまされているだけなのでしょうか?だとすれば完全にビール会社のドル箱戦略にはまっていますね.酒税による価格上昇を抑え,安さで売るために開発した技術はとても素晴らしいものです.しかし,蓋を開けてみると価格は下がらず,しかも,消費者はそれでも買い続けるという皮肉な現実です.似たような商品であれば同じ値段で売ってしまおうという罠にはまるのだけは避けたいものです.自動販売機で缶ジュースやペットボトルの飲み物を買う時も同様です.原価が異なるはずの飲み物が,同じ量で同じ値段で売られていることがあります.商品によって値段を変えている販売機もありますが,多くの場合同じ値段がつけられているように思います.その値段が自分にとって価値のあるものというわけでもないのに,ついつい買ってしまうという消費者心理をうまく利用した商売です.一律価格で販売する100円ショップの場合は,100円の価値がない物もありますが,100円以上の価値があるものもありますので消費者の満足感は高いです.しかし,単品で明らかに高いものを買わされているにもかかわらず,満足感がはっきりと現れない場合は,企業の戦略にはどっぷりはまっていることになってしまいます.気をつけたいものですね.

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